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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第26章 兵長ご満足プラン ※




盛大な水しぶきと共に倒れ込んだのは、分厚い胸板。

向かい合ってリヴァイに跨がる体勢となってしまい、必然的にエマは彼を見下ろすような形になった。


片手は掴まれたままで、もう一方の手は腰に巻きつけられ引き寄せられると素肌同士は嫌でもピッタリくっついてしまう。
出っ張った形の良い胸は、硬い胸板に押しつけられて潰れてしまっている。

エマは慌ててリヴァイの肩に片手を付き身体を離そうとしたがビクともしなかった。


「っへいちょう!こんな格好…っ!」


恥ずかしすぎます!


その先の言葉は出てこなかった。

見下ろした男が放つあまりに妖艶な色気に、思わず息を止めてしまったのだ。


しぶきで濡れた前髪の隙間から覗く瞳。

切なく燃える色欲を宿したその目に見つめられただけで、エマは呼吸をするのも忘れ、ただただ吸い寄せられる。
そして身体の奥はじわりと妖しい熱を持った。



「あ…あまり…見ないでください…」

か細い声でそう訴えるのが精一杯だ。


「いつまでそんな態度を取るつもりだ、いい加減慣れろ。」

「そんなこと言われたって無茶です…!ふ、普通に隣じゃダメなんですか?!」

「ダメだ。それだと距離がある。」

「でっでも真横なら遠くないですよ?!」

「はぁ…お前は馬鹿か…」


上目遣いを逸らさぬまま、骨張った指が湿ったエマの髪の間をするすると通り抜けた。

それだけだというのにバクバクしっぱなしの心臓はもはや破裂寸前だ。


「元々お前に拒否権なんかねぇんだ、諦めろ。」

この場所をどうしても退かせてもらいたかったエマだが許して貰えるはずもなく、小さな嘆きの声が虚しく空(くう)を舞った。

だがしかし、ここでエマに一つの考えが浮かぶ。


「………あ!兵長!」

「なんだ…」

いきなり助かったような表情で声を上げたエマに、リヴァイは思いっきり怪訝な顔をした。


「う、後ろ向くなら…いいですか?」

「…は?」

「向かい合うのはどうしても恥ずかしくて…このまま後ろ向くのは…ダメですか?」


リヴァイに背を向けてしまうが、これなら彼の要望どおり密着したままでいられる。

間一髪のところで思いついた精一杯の妥協案だった。


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