第6章 心が見せたもの
「……そうよ。私の情報を買いたいの?」
「あぁ。ある男の情報がほしい」
リオはベンチから立ち上がり、背後にいる人物を見る。
鍛え抜かれた上半身に赤い数珠のようなネックレス。
ハーフパンツにブーツ。オレンジのハット。
頬にそばかすがあるその人物に見覚えがあった。
「白ひげ海賊団、2番隊隊長…ポートガス・D・エース」
2人は人気がいない路地を歩いていた。
「おいおい、男と二人でこんなとこ…」
「他の人に情報を聞かれたくないからよ。本当は買い手の船で情報を売るんだけど、個人的な事情でそれ出来ないの。もし私に貴方が何かしようとしたとしても私の能力で心臓止めるから」
「可愛い顔して怖ぇ事言う姉ちゃんだな…」
リオは路地の奥まで進むとエースの方を見る。
「改めてはじめまして火拳。私はシルバークロウ。
……買いたい情報は?」
「黒ひげ…マーシャル・D・ティーチの情報が欲しい」
「…ティーチって確か仲間殺しの…それなら50でいいわ。白ひげさんのとこは昔師匠と世話になったしね」
リオは自身が持つ情報を頭の中で該当のものが無いか探していく。
「……確か仲間を増やして黒ひげ海賊団を結成している。所在地は確かな情報じゃないけど進路的にバナロ島辺りには立ち寄る可能性があるわ」
「バナロ島か…」
「あと未知数なんだけど、何か悪魔の実を食べている情報もあるわ」
「そこまで聞ければ十分だ。ありがとなシルバークロウ」
エースはリオに提示された金銭を支払う。
「しっかし、世界一の情報屋が女とはな…」
「よく言われるわ。他の人には公言しないでね…よし、ぴったり頂きました」
お金を数えたリオは懐に入れるとじゃあねと言い、歩き出す。
「健闘を祈るわ、火拳」
「そういやさっき海兵がうろついていた。お前こそ気をつけな」
「ご忠告感謝するわ」
リオはそう言うとエースの前から姿を消した。