【Harry Potter】 Missing Heart
第25章 涙
涙
スネイプは広い草原に一人立っていた。
(一体ここはどこだ。)
あたりは限りなく明るく暖かい日差しに満ちていた。ずっとここにいたいような気持にさせる不思議な場所だった。
体も軽く、まるで20代にでも戻ったかのように活力に満ちている。そして彼は草の上にゴロリとしていると、突然。人影が彼の上に落ちた。
「ねぇ、セブルス。いつまでここにいるの?」
「リリー?」
それは今は亡きリリーだった。
「君はなぜここにいるんだ。」
「あら、それは私があなたに聞きたいわ?」
目の前にいたのはスネイプの初恋の人であり、叶わぬ人だった。
「さぁ、もうそろそろ。起きましょ。」
リリーはスネイプの手を引くと起き上がらせ歩き始めた。
「どこに行くんだ?」
「それは私があなたに聞きたいことだったの。あなたはどこに行きたい?」
「選べるのか?」
「ええ、もちろん。全てはあなたの自由意志よ。」
それならば君と共に・・・と言いかけてスネイプは言葉を止めた。
それを見たリリーは微笑みながらこう言った。
「の所に戻りたい?」
「なぜ、君がのことを知っている?」
「あら、私は常にあなたのそばにいるのよ。あなたは知らないでしょうけれども。」
なおもリリーはスネイプの手を引きながら歩き続ける。
「ねえ、セブルス。人は常に変わり続けるのよ。変わることを恐れる必要はないわ。」
「君は変わらない。」
「ええ・・・あなたの中の私は永久に変わらないわ。でもあなた自身は変わっている。だから何時までもあなたの中に私はいることはできない。」
「君もいることができないということか。」
「ええ。なぜならばあなたは変わり続ける存在だから。」
リリーはそういうと
「さぁ、セブルス。ひとまずは、ここでお別れしましょう。あなたは行かなくてはいけないわ。」
「ここはこんなに明るくて暖かいのにな。」
「あなたの心次第でどこも、ここと同じように居心地の良いところになるわ。」
「そうか。」
そういってリリーはスネイプの手を離した。途端に二人の間に距離が生まれ離れていく。
彼の目に涙が流れ落ちる。