第23章 ご城下らぷそでぃ【S×O】
「私は上様を裏切るようなことは、決して…なれど、それを証明する術が分かりませぬ。
出ていけと言われても、私はもう、あなた様のお側でしか生きられませぬ…
ならば、いっそ、その手で私を殺してください!
翔さまに命を絶たれるのなら、さとは本望にございま…」
「さと!もうよい。もう……止めてくれ…」
「…翔さま…」
私とて同じこと。
さとなしでは、最早生きてはゆけぬのだ…
………さとを信じる。
たとえ騙されていたのだとしても…
いや、それは例えるべきでもない偽りなのだと分かったが。
それでもいい、と……
さとと生きていこう…
もうずっと前から、そう決めていたではないか。
それを……
私はなんと愚かだったのだ。
「………さと、私を許してくれるか…」
「翔さま……」
「一瞬でもそなたを疑ごうた私を、どうか許して欲しい…」
「……」
さとの手を両手で握って、そこに額をつけて許しを請う。
しかし、さとは何も言わない…
不安になって顔を上げると、さとはいつもの笑顔で私を包んでいた。
神々しいばかりの、
何もかも包み込んでしまうような、そんな優しげな微笑みだ。
「…許すもなにも…」
そう言いながら、さとは両手を解いて、その手で私の両の頬にそっと触れた。
「私を、信じてくださいますか?」
さとの潤んだ眼に、私が映っている。
さとの手の上に、自分の手を重ねた。
「あいすまなかった。もう二度と、さとを疑うようなことはない…私の命にかけて誓うぞ」
「ふふ…翔さま、大袈裟です。
上様のお命を、そんなに簡単にかけてはなりませぬ…」
さとは、華のように笑った。