第23章 ご城下らぷそでぃ【S×O】
「初めて見せてもろうたが…なかなか、器用だったな」
「器用?」
「さとの腰遣いじゃ…」
「腰…!翔さま!もう、意地悪しないでくださいな」
さとは、真っ赤になって両手で顔を覆った。
全く…
そんな姿を見ると、さっき私の上で激しく腰をくねらせ、欲望のままに声を上げていたとは、到底思えぬ…
「ほんに…さとは可愛いのう…」
そう言いながら髪を撫でると、
「…さとが…一番ですか?」
小さな声でそう言った。
ともすれば聞き逃してしそうなほどの小さき声に、初めてさとの本音を聞いた気がした。
「そんなことは、聞かぬとも分かっておるはずじゃが?」
「……申し訳ございませぬ…つまらぬことを…」
さとは直ぐに、物わかりのいい御台所に戻ってしまう。
ならば、もう一度我儘を言わせるまでだ。
さとの本当の気持ちを聞きたいのだ…
「一番とは?誰と比べて一番になりたいのだ?」
「いえ…よいのです…すみませぬ…」
「さと、さとは竹千代や絢が生まれてどう思うた?」
「それはもう。本当に心から嬉しく思いました。千代様に心から感謝しております…ましてや、私の子としていただき…
この上ない幸せな時間をいただいたと思うております」
「では聞くが…」
そう言いながら、さとの顔を覗き込むと、さともまた私をじっと見つめ、何を聞くのかと小首を傾げた。
「さとは私が千代と寝屋を共にしている間、どう思うておる?」
「上様……」
「私が千代のところに行くと知った夜は、どんな気持ちでおるのだ?」
「…翔さま…」
「たまにはさとの本当の気持ちが聞いてみたいのじゃ…」
その言葉に、さとは唇をぎゅっと噛んた。