【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第42章 呪術廻戦✿五条悟+夏油傑~3LDKふたりの居候~
「──…悟。外で話したいことあるんだけど」
は悟の名前を呼ぶとクルッと振り向く。目が合うとニタッと笑ってきて、胸の奥底がいたたまれなくなる。でも心に決めたのだ。瞳孔の揺らぎで勘繰られないようにあくまで平静を貫いた。
「なにー? 俺に話したいことって」
「外行って話す。傑、ちょっと悟借りるね」
「…あぁ。気を付けて行っておいで」
東京ではまだ初雪観測はされておらず気温も大分下がっており、今夜にでももう直ぐ降りそうな風の冷たさ。
「寒ぃ…。鼻毛から氷柱できそう」
「悟の場合、先に睫毛な気がする」
「そう思う?」
イケメンだと自覚している悟は気取った態度をとる。
「………鼻毛出てる」
「あーマジ?だからケーキ屋寄った時、皆(特に女が)ジロジロ見てたんだ。モテる男は辛いねぇ」
「ソウデスネー」
いつもなら話題も尽きることなく他愛のない会話で盛り上がれたのに互いの口数が減っていくにつれ、合わせていた小幅にも差が生じていく。
「悟。もうこの辺で……。ちょっと悟」
「………」
悟は聴力を閉ざしたかのように足を出し、家からみるみる離れて行く。ちょっとそこまで行くにしては遠過ぎて、悟の様子が可笑しいのは一目瞭然だった。
「ねえ。待ってよ、悟」
「夜の散歩っていいな。空気は涼しくなるし、どこか開放的になれる」
「止まってってば」
「視界が悪くなるから人目につきにくい。起きてる人間なんてごく僅か」
「ねえ……っ」
すると悟はようやく鳥居の前で立ち止まった。背中を向けたままで空を仰ぎ、雲に隠れる月を見上げる。
「聖なる夜に男ひとり呼び出して、そりゃパンピーみたいに現抜かして都合良く考えたくなるよ。トクベツな夜にしたくて、贅沢して、楽しいことばっか考えて終わりたかった。……けど、何でかなぁ……。お前の顔、もう見れねぇわ」
最後の言葉が薄っすらと震えた。悟はが口にするよりも早く、自ら望んでいない結論を導き出して語った。