【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第33章 ハイキュー✿花巻貴大「世界に幸あれ!」
の足取りはちょっとおかしかった。
その場に入るのを迷っているような、臆してるような…、心配になるくらい同じところをグルグル回ってる気がする。声を掛けるにもそういう雰囲気ではなくて、開きかけた口を何度も閉じて言葉を飲み込む。
「…マキたん…」
「……ん?」
「…私と、ずっと一緒に居てくれる…?」
切ない声を漏らす。
いつもみたいに甘える感じじゃなくて、こっちまで胸が締め付けられるようなドキドキ感。
「……うん。と、ずっと一緒に居たい」
俺の返事を聞くと、は意を決した顔付きになった。
その引き締まった表情にドキッとして、宿泊施設と掲げた看板の下を通って行った。
(……おっふ……)
初心者の俺でも分かる。
謎に豪華なフロント。
ここはただならぬところなんだと全身で感じ取っている。
モニターで部屋の利用状態が分かり、は部屋を選んで案内にしたがって上り専用のエレベーターであがり、選んだ部屋の入り口が点滅していた。
ごきゅっ…
唾を飲み込んだら喉がヘンに鳴った。
の様子を見ていたら扉に手をかけ、スリッパがあって、そのすぐ前に扉があった。
二重の扉ってやつを意識したら、なんかムチャクチャえろく感じて、口開いたら引きそうなこと口走りそうでメチャクチャこわくなってくる。
ガチャ…ン…
いつもみたいに会話がないから妙な緊張感。
急に抱きついたり、キスしようとしたら絶対に怖がらせる。それくらいとの長年の付き合いで分かってることだ。だからあんなに此処に来るのに悩んでいて、俺に…最後の確認をしたんだと思う。
…むっちゃ愛されてるなぁ、俺。
抱きつきたい衝動を抑えて、の緊張をほぐすように頭をぽんぽんを軽く撫でた。
「フロントもそうだったけど豪華でお洒落なところだな!カーテンあるベッドとか初めてみた!」
できるだけ怖がらせないように明るい声を出した。
には、俺のことをいつまでも好きでいて欲しいから無理強いはしたくない。
顔を真正面からみたらちょっと泣きそうな顔をしてて、笑って気付かないフリをした。