• テキストサイズ

【GIOGIO】Breve modifica

第10章 fallita【ブチャラティ】





そして今、情けなくもこうして平和な病院のベッドの上で、私はミスタに掴みかかっているという訳だ。

「おい、落ち着けよ!…アイツなら、あの後オレが捕らえたぜ。両手両脚に弾丸ブチ込んでやったら、さすがに抵抗する気も無くしたらしい」

とりあえず生きた状態で上に引き渡しておいた、と彼は続けた。
更にその後は私を病院に担ぎ込み、一晩中側に付き添っていたと。

「そう……だったの。ごめんなさい…ありがとう」

「ま、無事に目覚めてよかったぜ。撃たれたのが脇腹でラッキーだったってとこか」

ミスタはそう言って微笑んだが、私はとても笑い返す事なんてできなかった。




私の油断と慢心から、ミスタに迷惑をかけてしまった。

確実に倒せた筈の格下相手にこんな負傷をして。

もし彼があの場に居なかったら、私のせいで、任務は失敗していた。

私の馬鹿な振る舞いで、チームの名前に……ブチャラティの名誉に、傷をつけてしまった。


私が、私が、私が。


取り返しのつかない失態が、自己嫌悪が、頭の中をぐるぐる回って吐き気がする。



私はブチャラティのチームに入ってから今まで、任務に対して細心の注意を払ってきた。どんな小さなミスだろうと決して犯さぬよう、徹底してきた。

彼の役に立ちたかったから。彼に信頼してもらいたかったから。

それに、何より───こんな私でも…こんな何も持っていない人間の私でも、彼の側に居てもいいんだって思いたかったから。


そんな私の必死の働きを、ブチャラティは認めてくれた。
本当に本当に嬉しかった。
これからもずっと、貴方の為なら何だってできる。
私の居場所は、ここにしかないのだ。


そう、思っていたのに。


───役に立たないのなら、このチームに私が居る意味なんて、無い。




/ 81ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp