蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第142章 夢でしか逢えない 13
少しずつ、まぁくんに心を開き始めた潤くんとは対称的に、中々心を開いてくれない翔ちゃん
傷口が塞がってからしか、治療出来ないし。3日の月曜日、口腔内の確認と消毒。簡単な歯磨き指導のために来てもらって
(潤くんが保健室で まぁくんに、二人の家庭環境のこと話した日。居酒屋で話した日ね)
木曜日…… も来る予定なんだけどさ。翔ちゃんと潤くんの希望が、児玉さんの居る日なんだよね
オイラもカズも、複雑な心境だったんだけど
児玉「智先生、二宮さん、翔くんと潤くんは私に母親に対する想いを重ねてらっしゃるんですよ? 私も嬉しいです。同年代の息子達は可愛いげがないもんですから(笑)」
って。で、木曜日
午後休診で、最後のお客様だったから終わった後ね。話を
翔ちゃんね、自分の事は聞いてくれるな。って感じなんだけど、その他の事にはね? 結構さ
翔「ねぇ、なんでここの名前〈夢デンタルクリニック〉なの? 大体苗字とかじゃん? 〈大野デンタルクリニック〉とか? 必ず苗字を入れなきゃダメなんて決まり無いだろうし…… でもちょっと変わってるなって……」
あちゃー、聞かれちゃったって顔の智くん。俺もだけどさ
オイラとカズは、あちゃーって感じだけど、まぁと児玉さんは、クスクスって笑ってやがるしさ
潤くんも、「何で?」って聞く気満々だし
智「以前は〈大野歯科医院〉だったんだよ。父ちゃんが後を継いで暫くして、あるお客様が来られてさ。女子大生で。治療はそんなに掛から無くて……(もう逢えないんだ)って焦った父ちゃんは、手紙に『貴女には夢でしか逢えない。このままサヨナラは嫌なんです。どうかお付き合いして下さいませんか?』って。その女の子は『自分の夢が叶ったらお返事します』って手紙を。その1年後、その子が大野歯科医院に歯科助手として…… オイラの母親なんだけどさ……」