第3章 2年生 出逢い
Oside
相葉ちゃんが吉岡と桜木を探しに新宿へ向かうようになってから1ヶ月以上が過ぎた
最初の頃は『何の進展も無いんです』とメールをくれていたし、学校で目が合った時も肩を落として首を振っていた
だけどココ1週間くらいの様子がおかしい
メールは来ないし学校では完全に避けられている
話しかけようとすると用事ある、とすぐに居なくなるしメールも電話も無視される
進展が無さすぎて気まずさを感じているのかとも思ったがそんな事を気にするタイプでは無いことをよく知っている
だとしたら答えはひとつだ
吉岡と桜木を見つけた、それしか無い
でも相葉ちゃんに聞いた所で何も答えるはずが無いし、そもそも話すこと自体出来ていない
だから彼が新宿へ向かう日、俺はその後をつけた
何か思い詰めたような表情で新宿の街を歩く相葉ちゃん
その足は迷いなく目的地へと進んでいく
やがて何の変哲も無い白いビルの前で足を止めると中を見つめたまま動かなくなった
目は少し潤んでいてその表情は困っているように見える
中へ入ろうとしてやっぱりやめて…そんなことを数回やると諦めたかのようにため息をついて来た道を引き返そうとした
「相葉ちゃん」
「…っ!」
そんな彼の行く道を阻むように声をかけると驚いたように俺を見つめ、小さくごめんなさい、とつぶやいた
「俺の家に行こうか
まだ夕飯食べてないよね?」
なるべくいつも通り聞くと頷いてくれたので、逃げられなくてすみそうなことに安心して俺の家へ向かう
さっきの様子からして多分あのビルの中に2人が入っていくのを見たんだろう
だけど俺でも分かる
あのビルの中には“お店”があるって…