第2章 聞こえた《声》
テツくんの、練習?
練習といえばバスケ部の練習かな。
何でこの子が知ってるの・・・?
『明日は、テツくんが大変になるから。』
「何でそんな事分かるの?」
『・・・内緒だよ。とにかく、お願い。』
内緒って、なんか可愛いな。
明日かぁ・・・。テツくんの練習付き合おう。
「分かった。」
『じゃあまた明日。バイバイ、弥生。』
え、明日?!明日もこうやって・・・?
なんか毎日になりそうだなぁ。
母「弥生~?いるの?」
「お母さん!あ、おかえりなさいっ。」
いけない。イヤホンしてて全然聞こえなかった!
怪しまれたらいけないし・・・。
早く下に行ってご飯食べなきゃ!
母「またイヤホン付けてたの?そんなに毎日音楽聞かなくてもいいじゃない。」
「音楽を聞いてるんじゃないの。」
このイヤホン付けてると、見えるの。
みんなの笑顔とか頑張ってる姿とか。
だから、私の癒しアイテムなんだよ・・・。
ープルプルッ
私の携帯が鳴ってる。誰からだろ?
・・・さっちゃん?
「もしもし、さっちゃん?どうかした?」
桃『ごめん、ちょっと用があって。』
さっちゃんの用ならなんでも聞くよ!
唯一無二の親友だからね♪
桃『明日暇なら、部活後にお買い物しない?』
「え、明日?」
普段の私なら即オッケーしてる。
でも、あの子に頼まれたし・・・。
練習が部活後かどうかもわからないから。
「・・・ごめん。まだ分かんないから、暇だったらそうしよう?」
桃『うん。また明日聞かせてよ。』
さっちゃんよりあの子の約束を取っちゃった。
いいよね?間違ってないよね、私。
ー運命の歯車は、少しずつ向きを変えて回り始めた