第8章 セブタン島
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「ヒューマンショップが爆破されたとかで大騒ぎでしたよ」
海から戻ってきたペンギンは、開口一番、船長に報告した。
「へぇ」
「なんでも店にいた人間はみんな死んじまったとか。海賊らしき男が一人爆破後逃げ去ったらしいです。七武海が経営する店に手を出すなんて度胸がありますね」
(やっぱりそういう話になってんのか……)
誤解をとくいい方法が思いつかずにローは内心うめいた。身元が特定されたらアウトだ。
大抵の人間は奴隷が店ごと自爆したという事実より、ドフラミンゴファミリーに確執のある海賊が店をふっとばしたという話を信じるだろう。
何か言いたげな顔をしているにローは指先でテーブルを叩き、トンツーで「俺じゃないからな」と伝える。
「あれ、おにぎり作ったの?」
「うん。おにぎりパーティしようと思って。でも他のおかずは作れなかった」
「よっしゃ、それは任せといて。海でまたいろいろ獲ってきたから、シーフードシチューを作るよ」
「ところでペンギン、ボートレースはどうなったの?」
「……明日からシャチとベポと短期のバイトに行くことになったよ」
(やっぱりか)
とぼとぼとペンギンはキッチンへ消えていった。
それとは対象的にウニが大喜びで「! お土産だよ!」と観光街の名物・高級フルーツタルトを持って来た。
「どうしたのこれ?」
「えへへ。実はボートレースで大穴当てたの。……間違えて出しちゃったらたまたま当たっただけなんだけどね」
「ビギナーズラックか」
「ボートレース楽しかったよ~。みんなでいっぱい応援したんだ。ゴンザが明日も連れて行ってくれるって。も行く?」
「行きたい! ……けど、明日はキャプテンと約束があるの」
「そっかー、残念」
賭け事にはまりそうな雰囲気に、ローは保護者代わりのゴンザに「小遣い程度にしとけよ」と忠告する。
「そのつもりですよ。俺は元々賭け事はそんなに」
「のめり込むのは女にだけか」
それが原因で島まで出る羽目になったゴンザは、まだ傷が癒えていなかったのか、船長の一言にボロボロと泣き出した。
「ヘレナ……うっ、結婚しようって言ったとき、あんなに喜んでくれたのに」