第3章 「DNH企画」死神とハニーソルト
「え〜〜〜?マリアンヌ〜小生と一緒に入ろうよ〜。マリアンヌ〜入ろうよ〜。」
「(ちょっ!ちょっと…待って下さい…)」
アンダーテイカーは駄々をこねた子供のように身体を揺すりながらマリアンヌにすり寄ったり、後ろから抱きしめてジタバタしたりと、まったく収集がつかなくなってしまった。
でも、マリアンヌとて恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
「(や…で…でも…やっぱり無理です!!)」
「…………。」
思い切って断る姿を見せると、アンダーテイカーはそれに驚いたのか口を真一文字に閉じて首を傾げると、キョトンとおとなしくなってしまった。
「(わ、わかってくれたのかしら……?)」
予想外の反応にちょっと言い過ぎたかと内心ドキドキしながらアンダーテイカーを見ると、マリアンヌの言葉に驚いたのかフラフラとダイニングテーブルのイスに倒れ込むように座り、テーブルに突っ伏してしまった。
黒い帽子が頭から外れてしまい、しばしの沈黙がキッチンに走る。
「……マリアンヌが…小生を拒絶した……」
「(えぇ?!!)」
アンダーテイカーの方を見ると、がっくしとうなだれ、カタカタと肩を震わせ悲しんでるような声で呟いている。
どうしたものかとマリアンヌは考える。
「…小生は…こんなにマリアンヌの事を愛しているのに…マリアンヌは小生の事を拒絶するのかい……?小生は…小生は…」
そこまでいうと、キッチンから出ていってしまった。
どうしよう…
追いかけようか?
と思ったが、すぐにキッチンの扉は開き、アンダーテイカーは戻ってきた。
…その腕にお気に入りの人体模型の人形を抱えて。
「(え、え〜?!)」
絶句とはこういう事をいうのだろうか…
いったい何が始まるのかと思って静観していると、何やら人体模型に話しかけだした。
「人体模型君、小生の話を聞いておくれ〜。マリアンヌが、マリアンヌが小生とお風呂に入るのは嫌だと言うんだよ……酷い話だろう?」
『元気をだしてアンダーテイカー!マリアンヌはアンダーテイカーを嫌ってなんかいないさ!』
マリアンヌはギョッとする……
これは…まさかとは思うが、人体模型相手に腹話術をしているのだろうか?