第15章 その瞳の燐光
「だって君、真剣に医学で死人を生き返らせようとしてるからおかしくってさぁ…小生の目的にはおあつらえ向きの人材だったんだよ。ヒッヒッ…」
人間ごときの医学で死をなかった事にするなど不可能だ。しかし己のその情熱を信じて疑わず、研究に没頭するリアンにアウローラ学会。
そんなもの、アンダーテイカーにとっては都合のいい隠れ蓑でしかなかった。
「…では医学によって全世界を健康にするという我々の目的は…?!」
「それは君の目的デショ?それに……君の持つ医療の力では人体蘇生は成し得なかった。小生の技術に頼った段階でそれはもう医学じゃないし、自分で理解し得ない施術を患者に施すような奴はもう医者じゃあないね…」
リアンの胸にアンダーテイカーの言葉がグサグサと容赦泣く突き刺さる。
アンダーテイカーの言ってる事は全て図星だったのだ。
リアンはアンダーテイカーと出会ってからというもの、その知識や研究に感動を受け、その技術にあやかりたいと、どんどん溺れていった。
そして気づけばその研究成果があたかも自身の技術で成し得たものだと勘違いしていたのだ。
だが、リアン自身にその自覚がまったくなかったわけではない。
アンダーテイカーの店にわざわざ変装して訪ねてくるあたり、周りにバレてはいけないという意識が少なからずあったのだろう。
「……そ、そんな……」
全てはアンダーテイカーの手のひらで転がされていた事実を突き付けられると、リアンはその場に膝をつき崩れ落ちた。
「君は小生の話を馬鹿正直に信じてくれたいい子だったよ。」
アンダーテイカーが子供をなだめるかの様にリアンの頭を撫でると、シエルが声を上げた。
「つまり、お前がアウローラ学会の人体蘇生実験の首謀者というわけか、アンダーテイカー!!」
「内緒♡……と言いたいトコだけど伯爵にはフェニックスポーズでさんざん情報料を支払ってもらったからねェ、教えてあげようかな…」
アンダーテイカーはマリアンヌの手を取り、その甲にキスをすると、ニヤリと笑いながら答えた。