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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第15章 その瞳の燐光





「ヒッヒッ…ここまで笑ったのは久々だよ…いやぁ、本当に面白かった。こんなに面白い男を失うのは小生にとっては世界の損失なんだけどねぇ…」



「あんた…何言って……」



「君もそう思わないかい?死神くん?」


リアンを庇ったこの黒ずくめの男は、デスサイズに臆する事なく薄い板1枚で受け止め、不敵な口元でグレルの方に振り返る。


「なっ…デスサイズの刃が…通らない…ッ!?」


「フッ……」


「………なにっ?!」


アンダーテイカーはそのまま持っていた板でグレルを振り払うとガウンの裏に隠していた卒塔婆を美しい細工の施されたガラス天井に向かって投げ飛ばした。


英国の死神には卒塔婆などよく分からない文字の書かれた薄い板にしか見えないだろう。


アンダーテイカーはそれを2本、3本と投げつけると、天井のガラスはいとも簡単に割れ砕け、キラキラと輝く刃の雨を降らせた。



「(キャアアアアア!!!)」



ガラスの砕ける音に驚きマリアンヌは両手で耳を塞ぐと、降り注いでくるガラスの破片が当たらぬように身を屈めた。


「(…………!!!)」


しかしアンダーテイカーがすぐにガウンの内側にマリアンヌを入れたため、ガラスの破片が当たることはなかった。



「あぁ……悲しいねぇ……」



愛しいマリアンヌを片腕で抱き、アンダーテイカーは隠していた前髪をかきあげながらため息混じりに呟く。



「(……え!?アンダーテイカーさん…?)」



現役の死神2人に害獣が1匹、そして無数の動く死体。

正体を隠したまま相手にするのは骨が折れると判断したのだろう。

あくまで余裕を含んだ笑みで呟く。



「ここから笑いが消えてしまうのは……」




「アンダーテイカー……!?」



ガラスの破片から身を呈して庇ったセバスチャンの肩から見えたアンダーテイカーの素顔。

シエルが自身の名を呼んだのが聞こえたのか、アンダーテイカーは天井を仰ぎながら視線だけシエルに向け不敵な笑みを見せた。



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