第11章 後日談ーデート編ー後ー
近くのアイスクリーム屋で優愛は二人分のアイスを買ってくる。
「お待たせ、ハイ、飛影の分…アイスクリーム食べたことないって言ってたからとりあえず王道のバニラだよ」
黙って受け取る飛影。
「あのね…こういう時っていうかデートでアイスを食べるといいんだって溶け合うって意味で…。だから、教えてほしい…飛影のこと」
「いいのか?面白くも何ともないぞ」
「全然構わない…知りたいから」
それから飛影は語りだした。
氷河の国で忌み子として産まれ
盗賊に拾われ名付けられ
血には苦労しない生き方をして来たことを。
そして幽助や蔵馬達に会っていた頃にお前と出逢ったと。
これまでに断片的には話をしたことがあったが根幹を優愛に話したのは初めてだった。
「ありがとう、聞かせてくれて」
二人はアイスを食べ終わっていた。
「見損なったか?」
「ううん全くもってそんなことないよ、むしろ聞けて嬉しかった」
不安そうに聞く飛影に笑顔で答える。
「……いつかお前の話も聞きたい。お前さえよければ…だが」
「私?」
そう優愛に少し優しい目で見つめる飛影。
「ふふ、私の人生だってそんなに面白くないよ」
困ったように微笑む。
気が付けば日は沈みかけ、一番星が輝き始める。
「飛影あれ乗ろう!」
優愛が指差す先には観覧車があった。