第8章 紡ぐ紅い糸
妖怪に攫われたとわかった途端に優愛のことで頭がいっぱいになる。とにかく優愛の元へと…
妖怪を倒すと優愛は抱きついてきた。
それを優しく抱き締めかえす。
そしてミサンガの意味と優愛の笑顔に飛影は全てを思い出す。
目の前に優愛がいる。
「優愛…」
「飛影?」
「記憶を…いやお前のこと忘れててすまなかった…」
「え?」
「俺を赦してくれるか?」
そう言って顔を近づけ優愛にキスをする。
優愛は驚いて顔を真っ赤にし、全身に衝撃が走る。
飛影とのこれまでの記憶、想いが脳裏に一気に駆け巡った。
「ああ…飛影…」
それだけで涙が溢れ出す。
「すまない…優愛」
顔を見合わせる。
「本当だよ…バカ…。でも今聞きたいのは、そんな言葉じゃないよ」
涙を零しながらも笑顔で言う優愛。
「あの時最後小さい声で言ってたのまた聞きたい…!」
キョトンとした顔の飛影は頬を染める。
「聞こえていたのか」
珍しく余裕のない飛影。
「だめ?」
上目遣いで聞いてくる優愛に断れるわけがなく
「……この一度しか言わんからな」
「うん!」
ーーーー妖怪と人間だからって何だって言うんだ。
ーーーー当時の自分の心と視野の狭さに厭きれた。
ーーーーお前の未来は俺が掴んでやる。
ーーーーお前を幸せにするのは俺なんだ。
……ありがとう…優愛
そしてその後小さく呟いたのを再び優愛の耳元で囁く
愛してる…
END
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