第21章 恋の宣戦布告
主「いや、確かに燭台切は男の人だけど…私なんかより全然料理上手で…何かちょっと悔しい」
燭台切「へぇ…男の人、という事は…僅かでも僕を意識してくれているっていう事かな?」
燭台切に腕を捕まれ身体を反転させられると、流しを背に…追い詰められる。
近い…少し屈んで顔を寄せてくる燭台切の顔が、もう鼻同士がくっ付いてしまいそうな程近付いていた。
近くで見れば見る程、整った顔立ちに真っ直ぐな目。意識しない様にしても、もう無意味だと心が告げているかの様に鼓動が速まる。
主「こんな風に聞くの…狡い」
燭台切「物事、小言より大事に発するものなり…油断すべからず、だよ」
言葉の意味を考えるより先に、彼の顔が近付いて来て…思わず目を閉じる。
燭台切「君が好きだ。この気持ちは、変えてあげられない…これからは、手加減してあげられないからね?」
燭台切は私の耳元で、低く艶やかな声音で囁いた。
微かに耳を擽る吐息に、脳が麻痺する様な甘い痺れが思考を支配する。
主「っ……燭台切?」
頬が熱い…きっと私の頬は真っ赤に染まってしまっているんだろう。
再び見詰め合う位置に戻り、熱を帯びた視線を向けてくる燭台切と目が合った…その時。
次郎「ちょっとぉぉ、お酒まぁぁだぁぁぁぁぁ!?」
広間から痺れを切らした次郎太刀の声が響いた。
私は慌てながら、燭台切から身体を離した。
愛染「おーい、何か新しく来た刀剣男士が騒ぎ出したんだけど…って、二人共どうしたんだ?」
主・燭台切「べ…別に」
顔を背け、二人共頬を染め食事の盛り付けをしていた。
その光景はさぞかし、国俊には不思議に映った事だろう…。
国俊が広間に戻った瞬間、未だ頬が赤いままの燭台切がぽつり…呟いた。
燭台切「はあ…これじゃあ格好つかないな」
主「…」
燭台切「主?」
主「ん?」
私は平静を装い返事をした。
すると、不意に額に口付けを受けた。
主「ふえ!?」
燭台切「ご褒美、今は此れで我慢しておく事にするよ」
そうだご褒美ぃぃぃ…今の今まで忘れてたよ。
ごめん…それから…もう、心臓がもちそうにありません…。
それから湯気が出そうな程、私が赤面してしまったのは言う迄も無い。