第10章 来派
主「そっか、此処には国行も居るんだね?ほたるんに聞いてたんだ。私は二人共助ける!」
愛染「国行は…動く事も出来ねぇんだ…あのままじゃ、折れちまうっ」
そう言って、ポロポロと大粒の涙を零す。拳で拭っても拭っても、流れ続ける。
隣を見れば蛍丸が顔を背けていて、表情が読めなかった。だがきっと…この子だって平気じゃないだろう。
主「分かった…じゃあ先に国行だ!案内して、国俊っ」
私は拳を握り締めて頷いた。
すると、ごしごしと目元を拭い頷く国俊。
愛染「…っ…こ、こっちだ!」
その時私は気付けなかった、私達の行動を見張っている誰かが居た事に…。
?「あれは、新たな審神者でしょうか?」
?「いいや…知らぬ刀剣男士を連れているぞ?」
?「ふむ…ちと、様子を見てみる事にしようか…」
国俊に案内され、私は此の本丸の一室に来ていた。
目の前には意識も無く、ぐったりとした様子で倒れている眼鏡を掛けた男性が倒れていた。
パッと見ただけでも、かなりの傷や痣が伺えた。
あまりの惨さに…血の気が引くのを感じる。
愛染「国行…もう、三日前から声掛けても起きねぇんだ…」
蛍丸「国行……っ」
二人はその姿を前に、涙を流していた。
主「手入れ…しよう…」
明石「……っ!!!」
主「ひゃわあああっ!?」
彼の隣に腰掛け、唇を合わせ様と近付いた瞬間…目を覚まし刀を振るった。
寸での所で加州が私の服を引っ張ってくれて、何とかスレスレで刀が空を切った。
こ、こええ…。
国行「何で…っ…審神者が此処に居るん…やっ!?」
愛染「国行を治療してくれるって…」
蛍丸「国行…」
明石「ほたる…ま…る?何で、こないな所に蛍丸が!」
主「話は後、元気になってからしなさいっ」
明石「元気になったら…御宅の事、斬ってもええいう事ですやんな?」
怖い…。
斬るだなんて言われた事ないもん、足が竦み手が震える。
でも…此れくらいで負けていて何が審神者だ!!
主「……私のファーストキスなんだから、少しは優しくして…下さい…んっ」
明石「……っ」
加州「あああ!?」