第30章 夜這いにはご注意を(*)
部屋に戻ると蛍丸は私を降ろし、布団を敷いてくれた。
そして早く寝る様に…そう念を押して、自分の部屋に帰って行った。
主「あ…報告書」
やるべき事を思い出すと、私はパソコンに向かった。
すると、不意に後ろから聞き覚えのあるポンッという音が聞こえた。
振り返ると案の定、こんのすけの姿があった。
こんのすけ「お疲れ様です、審神者」
主「びっくりしたよ。で…お疲れ様って?」
こんのすけ「何って…鍛刀と夜伽です」
当然の事とばかりに平然と言うこんのすけに、私の顔は熱を集め真っ赤に染まる。
何なんですか、何で知ってんの!?私の行動、政府に筒抜けなの?えええ、何それ…超怖いんですけど!?
此処は…シラをきっておこう。
主「な…何の事かな…ぁ?」
こんのすけ「別にお隠しになられても構いませんがね」
審神者にプライベートは無いのだろうか…この狐、どっかで見てやがったのか?
はあ…でもしてしまった事に変わりはない。
主「で、こんのすけが何も無く来る訳無いよね?」
こんのすけ「ええ、今日は審神者の職衣が出来上がりましたのでお持ち致しました」
そう言ってこんのすけが目の前に置いた服は、異常な迄の布数だった。
主「何これ」
こんのすけ「十二単、という伝統的な衣ですぞ?」
主「いやそうじゃなくて、毎日着んの?これ。っていうか、着たとしてどうやって動くの?仕事どうやってすんの?私、引きこもるよ?ねぇ、良いの?」
異常な迄に冷めた声で畳み掛ける様に言う私に、こんのすけはフフフと余裕に笑う。