第20章 想い届く
「なんで智が謝るの?俺が悪いのに…」
「ちがう!ニノのせいじゃない!俺がっ…」
珍しく強い口調で智がニノを遮って、ニノは驚いたように口をつぐんだ。
ニノが黙ったのを見て、智も口を閉じて。
気持ちを落ち着けるように一度大きく深呼吸して
「話、聞いてくれる?」
「…うん」
ニノが頷いたのを見てから、今度は落ち着いた声でポツリポツリと話し始めた。
「俺…潤に告白されて…」
「…うん」
「好きって言ってもらって嬉しかった…だって俺も潤のこと好きだったから…」
「うん」
ニノは頷きながら、静かに聞いてるけど。
え?待って?
今智がさらりと俺のこと好きとか言わなかった?
サラッとしすぎで危うく聞き流しそうだったんだけど…
…え?聞き間違い?
「でも…でも俺…分かんなくて。想いが通じるなんて想像もしてなかったから、その先なんて考えたことなくて…」
「うん」
俺はめちゃくちゃ動揺してるんだけど、そんなのお構いなしに話は進んでいく。
2人とも真剣な顔してて。
話を遮って聞き直すとか出来なそうな雰囲気に、とりあえず最後まで黙って聞くことにした。
「どうしたらいいか分からなくて…ちょっと怖くなって…」
「こわい?」
「たぶん…潤との関係が変わるのが怖かったんだ…」
そこまで話すと、智は大きく息を吐いた。
「ニノのことが心配だったのは本当だよ。俺はずっとニノの幸せを願ってるから…」
「智…」
ニノの瞳が潤んで揺れる。
「でも、ニノのためって言いながら…本当は潤への答えを出すのを先延ばしにしたかっただけなんだ。ニノのためじゃなくて、自分が怖くて逃げただけだったのに……ニノのせいにしてごめん」