第19章 勘違い

「ごめん、俺には関係ないね…もう、聞かない。２人が付き合ってないって言うなら信じる…」

2人が違うって言い張るなら俺は信じるしかないよ。

それが嘘か嘘じゃないかなんて、俺には分からないんだから。

俺に分かるのは2人とも本当のことは話してくれてないってことだけ。

「今まで通りでいてくれる？俺の隣にはカズに居てほしいんだ」
「………」

なんだかちょっと不安そうな翔ちゃん。

まるで懇願されてるみたいって思っちゃうのは、俺の願望がそう聞こえさせてるだけかな。

ごめんね。
もう今まで通りには出来ない。

相手が雅紀じゃないんだとしても、翔ちゃんには好きな人がいるんでしょ？

翔ちゃんに好きな人がいたって、恋人が出来たって、俺が友だちであることに変わりはないって。

バレないようにこっそり想うだけなら許されるんじゃないかって。

そう思ってたけど。

俺の存在は翔ちゃんとその相手の仲を邪魔しちゃうよ。

それに、結局俺がダメなんだ。

翔ちゃんの幸せを願いたいのに、俺は心が狭すぎて。

翔ちゃんに恋人が出来たかもしれないって考えただけで今まで通りに振る舞えない。

翔ちゃんが俺じゃない誰かと寄り添う姿を想像するだけで、胸が抉られたみたいに痛いんだ。

好きな人の幸せを喜べないこんな俺は、もう翔ちゃんの友だちでいる資格すらないんじゃないかな。