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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第31章 〜死人に口なし、されど語らう〜





宮野志保は科学者であるが、霊能力を持つ友人をとても信用していた。お淑やかで汚辱に塗れた闇とは無縁な清楚で優しすぎる善人、勧善懲悪の綺麗事よりも善悪を併せ呑む価値観があり、物事の本質を見抜ける観察眼と勉学を語れる知識量。他人の感情を敏感に悟り、虚偽や悪事に晒されようと赦せる強さを持っている。どれを取ってもその友人、榊麻衣は人柄は好感が持てたし、眩しい彼女の隣は居心地が良いとさえ思った


姉を経由して知り合った唯一の親友、年下でいながら只者じゃない風格を感じる彼女。そんな麻衣だからこそ、到底信じられない話でさえも信用出来たのだ。事象そのものを簡単に信じる訳ではない、親友が語る故に事実なのだと納得していた


とは言え、宮野志保には霊感が全くない。幼児化してしまって以降もそうだ。何も見えた事などないし、聞こえもしない、触れられない。しかし何度か、誰にも言えない不思議な出来事があったのだ


例えば朝の目覚まし時計をセットせずに寝てしまい、翌朝なぜか目覚ましが鳴って目を覚ます。例えば失した物を探していた時、一度探しても見つからなかった場所に堂々と落ちていたり。例えばそういう事が起こったその日、夢で声や顔も知らなかった筈の両親や今年亡くなった姉が出てきて、呆れながら「駄目じゃない」と笑ってくれる


そんな幸せで不思議な事が時々あった。だから他人の話を肯定も否定もしない、勘違いや単なる偶然の場合もあるからだ。自分には何の力もない、嘘か真の区別もつかない故に。けれど無理矢理知ろうとなんて思わず、無い物ねだりをする気もなかった。執拗に知りたがるコナンと沖矢を見、麻衣や彼女の側仕えを不憫に思っていた



「ごめんなさいね、志保」

「私達家族の分も懸命に生きてくれ……」

「麻衣ともずっと仲良くね、死んだ私が遊べない分もいっぱい過ごすのよ?」



夢の中でそう訴える三人に向けて、志保は彼女達が安心できるように微笑みながら頷いた



「ええ、わかってるわ。絶対生き抜いてみせる、組織も崩壊させる目処が立ったの。麻衣にもそのうち会いにいく」



だからずっと見守っていてね、大事な家族達。宮野志保はそんな決意と目標を胸に、今日も前を向いて歩んでいるーーー
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