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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第26章 〜ホラースポット・ポアロ1〜





ある日の朝まで深く思い詰め、周りを心配させるほどに悩んでいた蘭が善い意味で変わったのは突然の事だった

毛利蘭は天真爛漫、直情的で一度決めた物を貫く意思は固く、猪突猛進で正義感も優しさもある性格だ。空手を習っているため、咄嗟に手足が出ては冷や冷やさせる危なかっしさを持っていた。それが彼女の父親の小五郎、一緒に暮らす居候で江戸川コナンを名乗る工藤新一、そして蘭の周囲も思っていた蘭に対する印象である。要するに、良くも悪くも頑固だという事だ

そんな蘭が世良と園子と共に出かけた日、帰ってくると妙にスッキリとした表情でいつもより和らいだ雰囲気を纏っていた。余裕と落ち着きを持った大人になりかけている女性、言葉にするならそういう表現が似合う変化だった。明から様に大きく態度が変わった訳ではなく、いつもと同じ言動の中に強引さや荒っぽさが少し消えて、事件の犯人捕縛も過激な動きをしなくなった。常に冷静さをもって暮らし、勘違いも減っている。少し全体的に丸くなって、根っこはそのまま成長したと言うべきか

兎も角、最初は小五郎もコナンもそんな蘭に戸惑っていたが、悪い変化ではないし長所が伸びて寧ろ喜んでいた。中でも一番の変化は両親の別居に対し、強引な手段をやめて話し合いの場を作ろうと奮闘している事だ。小五郎も絵理も断り続けていたが、必死な娘の熱意に根負けし、今は予定の調整を図っている最中である

そんな些細で大きすぎる変化に、コナンも小五郎も「一体どうしたんだ」と思わず尋ねてみると、蘭は麻衣が務める九十九神社で悩みを相談したのだと打ち明けた。その時、流石に悩みの些細までは教えてもらえなかったが、筋金入りに気が強かった蘭の心を解し、納得させたからこそ今がある。一緒に行った世良と園子もそうだ。故に小五郎は麻衣が蘭と友人になったと聞くと、「仲良くするんだぞ」と気分良く一言声をかけるに留めた。コナンも蘭が何を話したのか気になっていたものの、あまりに清々しい笑顔なもので聞く気が失せてしまった。別に今更、彼女の悩みを尋ねる必要なんてないのだ

けれど唯一、コナンが蘭の変化で参っている事。それは小五郎や園子に覆面推理ができず、工藤新一として自由に推理できないこと。コナンの行動に目敏くなった彼女が、すぐに捕獲してきて如何かしたかと尋ねてきたりする。つまり、誤魔化し辛くなってきたのだ
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