第40章 魔女がいたことを忘れない。
「背…伸びた?」
「お前が小さくなったんだろ」
「あは…そうか。ねぇ監視カメラあるの知ってる?」
「知るか」
まるで見せつけるかのようにエリナの唇を塞いだロー。
久しぶりのその柔らかい感触、味を心に体に刻み付ける。
「んふ…ふっ…ッ、ろ、ろぉ…はぁ」
何度も何度も角度を変え激しく唇を貪る二人。
久しぶりのキスに舌に、エリナは必死にローにしがみついて応える。
「ふ…ろぉ…ッ…息、できなッ…」
その激しさに息継ぎが上手く出来なくてエリナは限界を訴える。
名残惜しくも唇は離れ、どちらともつかない銀の糸が二人を結び光る。
視線を交え合えばもっと触れ合いたい、独占したい気持ちが溢れ出る。
ずっとこうしていたかったけど、私達はやらなきゃいけない事があるんだ。
「帰るぞエリナ」
「…うん」
ローが手を差し出してきて、その手をしっかりと掴む。
掌のぬくもりが温かかった。
「指輪と銃の場所は把握済みだ。来い」
相変わらず計画馬鹿のローに感心と笑みが零れてくる。
「流石ね…」
二年振りにこの部屋から出た。
筋肉が落ちているのはローも想定内だった。
エリナを抱え、海軍本部内を駆け巡る。
すると鉢合う海兵達。
「おい!ロードナイトが逃亡!七武海トラファルガー・ローとだ!至急報告せよ!」
「何事だ⁉︎」
騒々しい気配と廊下に湧く喚声に次々と海兵が集まってくる。
「待てトラファルガー!」
「止まれ!」
視界に入る海兵全てを愛刀鬼哭で風のように振り払う。
エリナを抱えている分、あまり大胆には動けないはず。
しかし、しなやかにそして素早く海兵達をなぎ倒していくロー。
そのスピードは以前より決定的に違った。
なのに抱(いだ)かれるエリナは負担や重圧を全く感じなかった。
「ロー…前よりなんか強くなってない?」
「当たり前だ。この日までどれだけ費やしたと思う」
「…そっか」