第36章 旅行に行くなら、どこに行きたい?
まぁまぁ片付いてきたかしら。
先ではローも海兵をバラバラにぶった切っているし、ジャンも何十人相手に斧で瞬殺の勝負。
多い割に雑魚ばっかね…
隙を見てこの場から離れようとタイミングを図っていたが、突然感じた殺気とズーンと重い地鳴りに振り返った。
「⁉︎ 貴方…⁉︎」
「うわ⁉︎おいおいマジかよ⁉︎なんで七武海が⁉︎」
そこにいたのは王下七武海に君する、一人。
バーソロミュー・クマ。
「まぁこれは…至近距離で見るとデカイわね〜」
エリナとシャチは巨大な彼の姿を見上げ色々な意味で顔が引きつる。
するとバーソロミューの鋭利な爪が斧のようにこちらへ振りかぶって来た。
「うっわ!危ねぇ⁉︎エリナ大丈夫か⁉︎」
すかさずかわし、二人は距離を取る。
「ええ…」
エリナは眉間に皺を寄せ相手の動きを把握する。
「エリナ!」
ローが私を呼んだ気がしたが、再度バーソロミューの攻撃によりそれに答える事が出来なかった。
「うっ…!」
甲板へ身を放り投げ出され顔を歪めるエリナ。
惜しくも僅かにその爪をかすってしまった。
一瞬隙を見せてしまったのか。
バーソロミューの姿をもう一度捉えた時には、目前に大きなその掌があった。
ヴィーーン
鼓膜を超音波の様なものが刺激する。
「っ⁉︎」
向けられる掌から目が離せない。
「旅行に行くなら、どこに行きたい?」
「は?」
バーソロミューは顔色を変えずただ冷静に私に問う。
「もう一度聞く…旅行に行くならどこに行きたい?」
エリナはニヒルに笑ってバーソロミューに告げた。
「…どこにも行きたくない」
彼は一瞬固まったように感じた。
そしてそれを最後に真っ白な世界が私を包んだ。
「エリナ⁉︎」
「エリナーーー!!!!」
側にいるはずなのに何故か遠くで皆の声がする。
やまびこみたいに木霊して。
何かがおかしい。
貴方の顔は見れなかった。