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医者と魔女

第35章 俺はあいつを裏切れねぇ。






「ごめんね…私ローがどれくらい貴女に本気なのか試したくて…意地悪しちゃった」




苦笑いと自嘲を乗せた笑みでジュリアさんは私を見ている。


「あれで振られちゃったら最後にしようと決めてたの」

「…はい」

「まぁ見事に、玉砕だったわ。ローは貴女が大切で愛している」

「……。」


ジュリアさんは珈琲を一口飲んで、ゆっくりとカップを降ろす。

「だから…貴方もローを愛してあげて。あの人を愛で満たしてあげて」

「はい…」

ジュリアさんは今どんな気持ちなんだろう。

「私のローへ対する想いはこれからも変わらないです」

「ふふ…なんかローが本気になる理由が分かったわ」

「え?」



ジュリアさんの顔を見ようとすれば彼女は既に席を立っていて。

「今日は謝りたかっただけ。これ、お詫びの品なんだけど受け取って貰えるかしら」

机に差し出された綺麗にラッピングされた小箱。

「え?いやそんな…」

「いいからいいから!受け取って。じゃ、また会いましょう」


最後にウインクを決めジュリアさんは伝票を持って颯爽と去って行った。

「あ、ご馳走様です!」

店の外へ消えるジュリアさんへ慌てて言葉をかける。

すると手だけ振って一度も振り返らないまま、ジュリアさんは姿を後にした。

エリナは息を吐きながら椅子へ腰掛ける。





はぁ…

ジュリアさん、ごめんね。
そしてありがとう。










エリナは船に戻り貰ったお詫び品の封を開けていた。


そして中身に仰天した。




「ん?…び、媚薬入りボディミルク⁉︎」




ニヤニヤとほくそ笑んでいるジュリアさんが思い浮かんで、エリナは苦笑いを浮かべた。





「さすがジュリアさんだわ…」



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