第28章 え、そう?喋る熊よりマシじゃない?
「ねぇあんた何してたの?ここで」
「俺は昔海に捨てられたんや。なのにまぁまた野郎が釣りやがって…俺は美女としか口聞かん」
「ふーん、でずっとここにしまわれてたのか」
「そうや、しかしこの日を待っていた!美女がまた俺を撫でてくれる日が!!」
「いや、撫でたってか埃を拭いてあげただけなんだけどね…」
たまたまここを掃除しなければ、ずっと箪笥の肥やしだったろうに。
するとランプの金の光が一層強く煌めいた。
「ご主人様、俺を目覚めさせてくれたんや。さぁ何でも願い事を聞くで」
「願い事?」
二人は一瞬考えた。
が、
「いやいや願い事なんて…あんたただのランプじゃん」
「そうだぜ、ただの女好きのランプじゃん」
ペンギンは少しランプに対し当たりが強い。
「まぁまぁ分かるでその気持ち。みんな最初は信じてくれへんが俺はランプの精や、願い事を一つだけ叶えてあげられるんや」
ランプに表情があればきっと今ドヤ顔だろう。
しかし二人の心には全く響かなかった。
「嘘くさ〜」
「マジかよランプのくせに、じゃあ俺の願い叶えてくれるか?」
嘲笑しながらペンギンが尋ねる。
「悪りぃが俺の主人は美女限定や、野郎の願いは聞かへんで」
「やっぱムカつくこのランプ!海に捨てちまえ」
「まぁまぁペンギン、…本当に叶えてくれるの?」
「せや、ほんなら試しに見せてやろか?」
ランプがまた強い光を放ったその刹那。
どろん!
「うわっ⁉」
「えっ!」
突然立ち込めた煙が薄れるとそこにはチャイナドレスを着たエリナの姿があった。
「何よこれ⁉」
「えっエリナ…がふっ」
ペンギンは鼻血を噴き出し卒倒した。