• テキストサイズ

最愛 【黒子のバスケ】

第7章 近づく距離



『……タイガがそう言うなら…もう一度だけチャンスをあげるわ』

敵意を隠さないまま心底気に食わなそうにあたしを睨みつけて、それでもメイクを外されなかったのは大我のお陰でしかない。


クライアントに助けてもらうなんて、あたしは雇われた人間として失格。


だけどメイクだけは…
メイクだけは何としても完璧にやらなくちゃいけない。


「こっちに来て」

「あぁ」


撮影場所とは少し離れたところの日陰に移動して大我のメイクを修正していると、休憩を挟めたことでクルーたちも少し表情が和らいでるのが見えた。


「ごめんね」

「謝るな。俺がお前に頼んでんだ」

「…ありがとう」



とにかく仕事をしないことには何も進まない。

撮影で付着した制汗剤のパウダーを落としてベースからメイクを直すと、大我がドリンクのグラスに飾られてたイチゴをくれた。


「好きだろ?」

「うん」


ヘタを取ってから手に乗せてくれたいちごを口に入れると、甘い香りが広がって、重かった気分が少しずつ軽くなっていった。


「おいしー」

「そりゃよかった」

「ありがとう」

「さっさと撮ってさっさと帰ろうぜ」

「うん!」


メイクを直した大我が撮影場所に戻るとすぐに撮影が再開されて、今度は1回でOKが出た。


結局NGの意味はあたしの予想でしかなくて、本当のところは分からなかったけど、OKが出たことで撮影は先んだ。






日中の撮影を全て終えて夕方の撮影までは自由時間で休憩だから、セキュリティと大我と一緒にホテルに戻ってくると、涼しいホテル内に汗が引いていった。

「俺の部屋にいろ」

「うん」

大我がよっぽど一人になりたがらない限り今日はずっと一緒にいるって決めてたから言われなくてもそうするつもりだったし、セキュリティからも同じ部屋にいてくれた方がいいって言われてた。


昨日のハンナの言葉を借りさせてもらおう

もう揉め事はたくさん…
だからあたしも揉め事を作らないようにしよ。





部屋に入って夕方のメイクの為にメイクオフした大我にシャワーを浴びさせて、あたしは砂だけ落としてそれぞれのベッドにダイブした。







「「あー…疲れた」」

あたしと大我は結構こうやって同じことを言うことがあるけど、今日は大我じゃなかったとしてもこうやって同じ言葉が出たと思う
/ 1758ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp