• テキストサイズ

最愛 【黒子のバスケ】

第7章 近づく距離


無事にステージ裾にモデルを送り出して、急ぎの対応は終えた。

『ベイビー、終わったらこっち戻ってちょうだい。ジェーン・ブライスのヘアセットに遅れが出てるの。フォローして』

『すぐ行きます』


モデルさんのあまりの剣幕に泣き出す人もいるというのは聞いていたから驚きはしなかった。


『他の担当は?』

『…いません』

慰めてあげたいのは山々だけど、新たな指示も出てるし今ここでもたついてる訳にはいかない。
それに、こういうことは自分で乗り切らないと意味がない。


私だって現場で泣いたこともあるけど、BOSSには“泣いて何になるの⁉”って更に怒られた。


初日のショーの出来は今後にかかわってくるから絶対に失敗できない。
セレブが来てプレスが取り上げてくれるからこそ宣伝になる。

内容がつまらなかったり、ショーの盛り上がりを妨げるようなことがあって、それが口コミで広がると招待していてもセレブは来てはくれない。

この現場に同業の馴れ合いは最もいらない。

それぞれがやるべき事をこなして最高のショーにする。
私たちバックステージは、ブランドとモデルの要求に完璧に応えなくてはならない。









最後のブランドがステージ裾にセットして、トップのモデルからランウェイに出た。




慌ただしかったバックステージに静寂が訪れたのはその数秒後で、BOSSと目が合うと、親指を立ててグッドサインを送ってくれた。








幸い今回の初日は大盛り上がりで十分成功といえるものになった。


『あなた、メイク始めて何年?』

『弟子に入ってから10年です』

バックステージで声をかけてくれたのはあの高そうな時計をしてたブランド担当者。

『そう。10年でそこまでになるなんて…』


初めて顔を合わせた時より彼女の雰囲気が優しいと感じたのは、きっと初日を成功させられたから。


言葉の途中で呼ばれてしまって最後までは聞けなかったけど、きっと褒めてもらえたんだと思う。

行ってしまう間際に早口だったけど『明日もお願いね』って言ってくれたから。

/ 1758ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp