第7章 近づく距離
飛行機に乗っても黒須のことが頭から離れなくて、本当にどうしょうもねぇくらい惚れてんだって自分でも呆れた。
こんなこと今まで一度もなかった
会えば会うほど、話せば話すほど黒須に引き込まれる。
華奢な体と俺好みの顔立ち
仕事に対する責任感とプライド
コンプレックスに対する向き合いかた
ちょっと抜けててすぐ内緒が内緒じゃなくなっちまうとこ
照れて笑うとこ
目ウルウルさせてくるとこ
男の事なんか全然分かってねぇくせにエロい顔するとこ
全てが俺の五感を刺激して抜け出せなくなる。
自宅に戻るとネロが出迎えてくれたけど、やっぱり女の匂いがするせいか少しいつもより距離を取って、飛びついてこねぇ。
それでも、俺が好きな女のことはネロにも好きになってもらいてぇ。
『すげーいい女だ。俺を借りたからってお前にもおやつ買ってくれた。明日やるから』
もう時間も遅せぇし所定の寝床に寝かせて撫でると、安心したように目を閉じて寝始めた。
言ってることなんて理解してねぇと思うけど、話しかけるとネロは何となく頷いてるように見えなくもねぇ。
シャワーを済ませてベッドに横になったけど、同じ空間に黒須がいねぇだけで寂しさを感じた。
たった1日同じ部屋に寝ただけなのに、いないのが当たり前のはずなのに。
人と寝るのが嫌いだった俺が黒須とは一緒に寝たくなっちまう
抱く抱かねぇじゃなくて、同じ空間で寝るだけですげぇ満たされる
まぁ理性は試されるけど
って…俺こんなに奥手だったか?
抱いても一緒に朝は迎えない。
これが今までの普通だった
でも黒須にはそんな簡単に手を出す気になれなかった。
抱かずに一緒に朝を迎えるだけで満足できて、何かわからねぇけど満たされた感じがした。
抱きたい気持ちがねぇっつったらそりゃ大嘘だけど、しなくても一緒にいられればそれでいい。
今回はたまたまだったけど次に会った時は黒須の意思で同じ部屋で過ごせたら最高だ。
俺が寝る前にバスケ以外のことを考えるなんて自分でも驚きだけど、頭から離れねぇんだからしょうがねぇ。
「覚悟がないなら手を出すな」って言われたけど、黒須の為ならどんな覚悟だってしてやる。