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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


まさか青峰君に髪を整えてもらうなんて思わなかった。
仕上がりはいつもより少しだけ荒いけど、仕事になれば結ぶからこのまま行く


呼んでおいてもらった車に一緒に乗り込んで、フォーシーズンズまで一緒に移動した。


本当は青峰君の入りはもっと後だから、青峰君は急ぐ必要なんてなかったのに…

あたしに合わせて一緒に入ってくれて、部屋でトレーニングをして時間まで過ごすから気にしなくていいって言ってくれた。


あたしは結局カレンのメイクを外されることなく続行になっているから、一足先にペントハウスに入って用意を始めなきゃいけない。


「なんかあったらすぐ言え」

「うん」


もう何度もこうやって言ってくれている。

それに、あたしももう我慢できるほど気力は残っていない。



いつもよりも強くハグをして、いつもよりも長い長い行ってきますのキス



「愛してる」

「あたしも…」



ライアンが部屋の奥にいるから小さな声だけど、目をしっかりと合わせて言い合うこの言葉は、今日を一緒に乗り切るっていうあたしたちの約束みたいだった。




「行ってきます」

「後でな」



青峰君の控室で別れて、パットとあたしの控室に一度戻ると、もうすでにパットも来ていてあたしを見てにっこりと笑ってくれた。


『おはようございます。昨日はありがとうございました』


すみませんでしたって言葉をあえて使わなかったのは、謝ってすっきりするのはあたしだけだから。
謝られたら、パットはわたしを叱れなくなってしまう。


パットはあたしに謝らせたいんじゃなくて、この現場をやり切る強さを求めてるって分かってるから。

『今日もよろしくお願いします』

『よろしく。BOSS』



BOSSにBOSSって言われた……


照れくさいっていうか…過分すぎて、照れることすらできなくて開いた口がふさがらない。



『そのぼさぼさの頭、私が直してあげるわ。座って』

唖然とするあたしにいつものように茶目っ気たっぷりの笑顔と声でウインクをしてくれた


背後にまわって髪をまとめて


一瞬であたしを仕事仕様の髪にしてくれたけど、自分でするよりもずっと綺麗。

引っ張られてる感じなんて少しもないのに、少し熱がかけられてきっちりとまとまった髪は、まるで一枚のシルクのような艶があった
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