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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


あたしが見たかったのは、泣き崩れて抱きしめられたところじゃない…

選ばれなかった現実を見て泣き崩れて縋る無様な姿


どうして…ダイキは……

ダイキは一瞬もあたしを見なかった。

あの女があたしに暴言を浴びせて責め立てたのに、まるで私が存在しないかのように、一切見向きもせずに一直線にあの女に向かって腕の中に引き寄せた

泣き崩れるあの女を強く抱き寄せて、聞いたこともない絞りだす声と見たことのない苦し気な顔だった

まるであの言葉がダイキに向いていて、自分が全部受け止めると言わんばかりだった


ダイキはあたしが泣いても絶対に抱きしめたり同情したりしなかった

むしろ泣いたあたしを見ていつも面倒そうに深いため息を吐いて、慰めるように抱きしめられたことなんて一度もなかった



あんな女の……

あの程度の女の何がいいのよ


『何なのよ……』



あたしの苛立ちはホテルに戻ってからも収まることはなかった。

ナカノにもタイガにも釘を刺されて、あたし自身はあの女を排除する手立てが全くない


人を使ってあの女を襲わせれば手っ取り早いけど、そんなことをすればすぐにあたしだってバレて、現場を外されかねない


初日に手を打っておくべきだった…
人を使ってでもあの女を立ち直れないくらいボロボロにしておけばよかった


分不相応な恋人を手に入れた代償を早めに払わせて、もう二度とダイキに近づこうと思わないくらいにしてやれば良かった……


思いがけず同じ現場になったことで全く準備ができていなかった


知っていればこんなことにはならなかった



考えれば考える程、苛立ちが募って眠れなくてスマホを手に取ると丁度サラから電話が入った


『カレン。遅くにごめんなさい。明日のことでちょっと…』

『なに?』

サラはメイクはしないけど常にあたしの傍にいてあの女を監視させてた

ダイキとの関係性を少しでも正確に把握したくてそうしていた


『クロスにはメイクの時以外近寄らないで。全てあたしがやるわ』

『どんな計画なの?』

『それは、知らない方がいいわ。あたしに任せて』

サラは感情的になりやすいけど目的の為なら手段は選ばないみたいだから、知らない方がいいというならすべて任せる


『いいわ。けど……失敗したら…』

『大丈夫よ。絶対にクロスは排除するわ』
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