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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


撮影自体で大きなトラブルは起きないものの、あたしとカレンの関係性は相変わらずで良好とは言えなかった。

カレンと青峰君が付き合っていたことを知ってるスタッフの中には、あたしが青峰君を狙っていて、ヨリを戻した二人を邪魔してるって思ってる人もいた。

カレンが何か話したからだろうけど、周りにどう思われようがあたしはこの場所で個人的なことを言うつもりはなかった。


どれだけ嫌味を言われても、青峰君とカレンがいかに親密なのかをカレンの口から聞かされても、反論の必要はない。

まともにカレンの言葉を聞いていれば自分だって追い込まれることは明白で、意識的に耳をちくわにして不必要なことは頭に残さないようにしてた。







それでも……聞き捨てならない言葉はある

反応したら自分も同じ土俵に立つことは分かっていても、反応すればそこが自分の弱点だと悟られることになったとしても……






朝のメイクの時はチーフと青峰君とパットがそばにいたお陰でほとんど開かなかった口が撮影終わりの今は違った。

メイクを落とすように言われて残ったあたしとカレン。

さつきと美緒を含む数名のスタッフは、明日も続く撮影の為それぞれに打合せをしていた。


『ねぇ…奪われるように抱かれるのは究極の愛情表現だと思わない?』








「っ!!………」





あまりの衝撃に言葉が出なかった
一瞬、あたしの過去を知っていてそれを示唆してる発言だと思った。



『強引に求められるのって自分が愛されてるって実感するわ。抑えきれない欲望をぶつけられる喜びをあなたは知ってる?』



やめて…

今すぐ黙って……






『あたし、ダイキに抱かれたとき幸せだったわ。だからあたしも受け入れたの。これは彼の愛情で、誰よりもあたしを愛してるからそうしたんだって気づいたら、彼を受け入れない選択なんてなかったわ』


お願いだから黙って……

違う



奪ったり、押さえつけて無理矢理することは愛情や好意じゃない。





カレンの言葉に、あの時のことが一気に蘇ってあたしはついにメイクという立場から引きずり降ろされた。



何度も何度もやめてほしいと泣きながら懇願してる、情けなくて無様な自分の姿がはっきりと脳裏に浮かんだ。


そして…
あの時のあの場所に戻ったような恐怖があたしを襲った。
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