第13章 そこのけ黄色
上「じゃあ水族館にしようぜ。」
『何の脈絡もないけど。』
上「俺にとってはあるんだよ。」
誰にも邪魔をされない遠いところ。
その時だけでいい。
俺しか考えられない場所へ行きたい。
バカな頭を使って考えた精一杯の男の意地だった。
『遠いから早めに寮出なきゃだね。』
上「あぁ。俺が完璧にエスコートしてみせるぜ!」
『それフラグでしかないけど。』
上「うぇぇ!?やめてくれよ…。」
『ふふっ、やっぱり上鳴は面白い。』
彼女の笑顔を見られるのなら、アホ面だろうが構わない。
辺りは静まり返る夜。
二人だけの談笑が聞こえる共同スペースで上鳴はそう思った。