• テキストサイズ

エルヴィン裏作品集

第22章 【合同夢】Kids under Edge



きっかけは学生時代からの友人と行った、ランチでの会話だった。

「私ね、パイパンにしちゃったんだ」
「パイ…パン…?」

仕切りのないオープンな席。
声を潜めて話す彼女だが、すぐ後ろには子連れで食事をするグループもいれば、横には昼休みであろうOLたちもいる空間。そんな中で飛び交うにはあまりにも節操のない単語に私は一瞬思考が止まってしまう。
パイパンとは、陰毛の生えていない女性の陰部のこと。思春期を迎え、体が成長していく過程で普通なら誰しも陰毛が生えてくる。それを意図的に脱毛や剃毛することを最近ではパイパンというらしい、と知識では知っていた。
でもまさか、こんな真昼間にその単語を聞くことになるなんて誰が予想しただろう。
そんなことを考えている私を気にすることもなく、彼女はパイパンにした経緯や、サロンでの脱毛の恥ずかしさを語る。正直、その内容はほとんど覚えていない。けれど、

「彼氏がね、パイパンにしたら色々ヤりやすくなったって。すっごく喜んでくれたんだよ〜!」

彼女のこの一言だけは強烈に印象に残ってしまったのだ。

気付けばその日の夜、私は四枚刃の剃刀を片手に浴室で自分の股を覗き込んでいた。
全く処理していないわけではない。
下着からはみ出さない程度には切ったり剃ったりしている。けれど、俗に言うパイパンとは程遠い状態だ。
このままでも特に不便したことは無いし、パートナーであるエルヴィンに何かを指摘されたこともない。でも、"色々ヤりやすくなる"ということがどんなことなのかが気になって仕方ないのだ。
少しでもパートナーとの行為が快適になるのであれば、とりあえず試してみようと思うのが乙女心。
そしてなにより、私とエルヴィンは今現在、倦怠期真っ只中だ。
恋人として数年過ごし、結婚して更に数年。それなりの年月を過ごしている。


/ 308ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp