第4章 年中行事〜大晦日&正月〜
12月31日 大晦日 迅視点
最近、明希がレイジさんとずっと一緒で面白くない。
二人程料理出来ないから仕方ないけど、でも、もう少し一緒にいる時間が欲しい。
ソファに逆向きに座りながらムスッと膨れていると、明希がこちらに気付いて手招きした。
「なぁに明希」
「味見お願いしてもいい?」
「勿論」
軽やかに返事をすると、少し大きめのスプーンで雑煮の汁を掬い、ふーふーと息で冷ましてから俺の前に出す。
「はい、あーん」
「あ、あーん...美味い!」
「えへへ♪小豆の方も食べる?」
「うん」
別のスプーンで同様にして俺前に出す。
無自覚恐ろしい。でも可愛いから食べる。やっぱりこっちも美味い。
「どっちも美味いな」
「でしょ!」
「正月が楽しみだな」
「楽しみにしてて!」
嬉しそうな笑顔が可愛いくて抱き着きたくなるが、我慢してリビングへ戻る。
数分後、作り終わったらしい明希がキッチンから出て来た。レイジさんは晩飯の年越しそばを作っている。
「お疲れ明希」
「うん。悠一は暇そうだね」
「まぁね〜。小南達は外で雪合戦してるよ」
「じゃあ、そろそろみんなを呼びに行こうか」
「待って」
呼びに行く明希の腕を引っ張る。急な事でバランスを崩した明希は、簡単に俺の膝に収まった。
「びっくりした。急にどうしたの?」
「もう少し二人が良い」
そう言って明希の首元に顔を埋めると、甘えん坊だなぁとお腹に回した手を撫でてくれる。
明希のそういう所ホント好き
夜になり、みんなでレイジさんお手製の年越しそばを堪能した後、ガキ使(ボーダーVer.)を見た。嵐山がケツバットされる所は本当にレアだと思う。
バシッと初めて音が鳴った時、明希がビクッとして痛そう...と呟いたのが可愛かった。
ガキ使も終わって、みんなそれぞれ部屋に戻る。俺は部屋には行かず屋上へ向かう。あの二人がいるはずだ。
屋上へ行けば、予知通り明希と遊真がいた。二人はここで天体観測するのが好きらしい。
「お、迅さん。迅さんも星見に来たのか?」
「そんなとこ」
「今ね、遊真君に星座教えてたの。今はかぎ座が見えるんだよ」
すると、遠くからごぉんと鐘の音が聞こえ始めた
「年明けたね」
「だな」
「この音が新年の合図なのか。面白いな」
三人で顔を見合わせ、誰からともなく挨拶する
「「「あけましておめでとう」」」
