第43章 煙 くゆりて 人 攫う
「お夕、泣かずに帰れ。
瑠璃が攫われたことは誰にも言うな。
絶対にだ」
政宗はある程度事情がわかって気を緩めつつ、
お夕 を口止めして御殿へと帰した。
しかし、誰が、何のために、何処へ。
「正正堂堂としないのが1番腹立たしいな」
秀吉が悔しそうに拳を握る。
「信長の女 を攫って行くって事は、
信長様に怨みでもあるヤツら ってことですよね。
心当たり ありませんか?」
一応、家康が信長に尋ねるも、
「心当たり、か……俺に怨みを持つ者は大勢いる。
故に、判らぬ」
大威張りの大真面目。
「ですよね」
予想通りの答えに、一同 眉ひとつ動かさず。
「え"ぇ〜、そんなぁ〜」
美弥だけが落胆した。