第12章 闇 終焉の地
「母さんは、夜寝静まったとき、
幻術を使い情報を奪う。
これで、数人……いや、もっと多くの木ノ葉の忍が死んでしまう。
損害がこうむることを
やっている。
地獄に堕ちるのは覚悟の上だ。
ただ、
わたしの父や母を救いたい。
その一心のみ。
ごめんなさい……
ごめんなさい……!
母さんは、泣きながら、術をかけて情報を引き出した。
夫を裏切ってしまった……
本当にごめんなさい……
俺の母さんは、
正しい判断が出来ない状態だった。
自分の両親を助けたい。
その一心のみで、
行動をしたと書いていた。
身を引き裂かれる思いで
初めて
スパイ活動をしてしまう。
これで自分の両親は解放される。
よかった……。
これで終わりだ……。
そうと思った
母さんの悪夢は続く。
いくら情報を渡しても
雪ノ里の忍は両親を解放しないからだ。
『こんな情報では解放は遠のくぞ? 機密情報を引き出して来い』
そう、文が届いたとき、母さんは、もう考えることを止めてしまう。
ロボットのように言われたことを
するようになった。
もう、精神的に
参っていたんだと思う。
だが、
夜な夜な、父さんに幻術をかけて
情報を奪うとき、
涙を流していたと書いてた……」
ヤナギは目をふせ、大きく溜め息を吐く。泣きそうな表情で下唇を噛んだ。