第3章 路地裏イチャイチャ in ミケ
「おじさん!」
「ミケだ」
「ミケおじさん!ちょっとこっち!」
そう言いながら、可愛らしく手招きする少女。
(相変わらず…)
あの時から変わっていない。
エルヴィンはおにいさんで、自分はおじさん。
もういい。
嫌われていないだけいい。
ミケは素直におじさんと呼ばれることにした。
少女に誘われるがまま、路地裏の奥へと入る。
「ちょっとしゃがんで」
「これでいいか?」
「うん。あのね…おじさんは、あのおねえちゃん好き?」
「!?」
「好き?」
「それは……」
(何を話しているのかしら?)
決して遠くはないが、二人は内緒話をしている為には聞こえない。
だがミケの表情を見る限り、後ろ向きな話題ではないようだ。
と、しゃがみ込み背を丸めるミケが小さく頷いた。
そして、それに応える様に少女もまた満足気に頷く。
(ふふ、何だか親子みたい…二人とも可愛い)
「しかし…、やはり持たせるのは…」
「それね、ちっちゃいのをのね…少し……」
「ふむ…」
「…ってしたらどう?って、お姉ちゃんが言ってた!」
「成る程な…。いいアイデアだ。そうさせてもらう、ありがとう」
両腕が塞がっているため、今日は撫でてやることができない。
その代りに、努めて柔らかな声で礼をする。
「えへへ…」
ほんのりと頬を染めて微笑む少女を見るに、どうやらきちんと伝わったようだ。