第64章 それぞれの決断に、変わる風向き
ーガラガラガラガラッ!!!ー
あの飄々とした口調で、実に愉しそうに人殺しを披露していたケニーが、自身の安否を気にかけてかけつけた部下に向かって腹の底から来るなと怒鳴った。
トウラテ達はこんな取り乱した様な上官ケニーの危機迫る怒鳴り声に驚愕するが、時既に遅し…
彼らは瓦礫の下敷きとなってしまった。
ードドドドドドドッ!!!ー
巨人化したロッド・レイスはまだ巨人化する人間を食ってはいない。
そのため意志もなく制御のきかない巨人だ。
この洞窟から出ようと無理矢理に身体を起こそうとしているが、身体が重すぎるのか、もがいている様にも見えなくはない。
ただこの大きさで暴れ回られたら厄介などという言葉では到底言い表せない。
現にこの巨体が洞窟の最奥を塞いでいて逃げ道を塞がれてしまった。
「まずい!!」
「逃げ道がねぇぞ!!」
「な…何でだよ…オレを食うんじゃなかったのかよ?!これじゃあ…みんな死ぬ…!!」
絶体絶命のピンチだ。
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ーバタン!ー
ロッド・レイスが巨人化する少し前、クレアはハンジを抱えて一時撤退をしていた。
礼拝堂の入り口をあけ外に出ると、見張りをしていたマルロとヒッチが同時にクレアを見た。
「クレアさん?…それにハンジ分隊長…いったいどうしたんですか?!」
「攻撃された所は見てないんだけど、負傷してしまったの…ヒッチ、馬車の荷台にある布を敷いて!それと医療バックも持ってきて!」
「はい……!!」
マルロが周りを警戒する中、ヒッチが荷台に布を敷くとそこにハンジを寝かせた。
「ハンジさん…!分かりますか?!私の声、聞こえますか?」
クレアが負傷していない方の肩を叩くと、ハンジは薄っすらと目をあけた。