第49章 104期入団
「すぐに行く、エレンは調馬索運動の準備をして待ってろ。オルオには曳き馬をさせてろ。蹴飛ばしても立てないならそのままにしておけ。いいな?」
「は、はい!!」
エレンは敬礼をすると、走って出て行った。
リヴァイは荷物の最終確認と積み込み等、これからやる事を考えていたらクレアが声をかけてきた。
「あ、あの…兵長…私はこれで…これから出発準備でお忙しいのに、すみませんでした。」
「あ?お、おい……」
リヴァイに向かって深々と頭を下げると、クレアも敬礼をしてリヴァイの執務室から出て行ってしまった。
「クソッ……」
別に喧嘩をした訳ではない。
だが先日の壁外調査の朝以来、ゆっくりと過ごす時間が作れてない。
これまでの壁外調査の後は、必ずと言ってもいい程、互いの無事を再確認するように深く愛し合ってきた。
互いの熱を感じ、心臓の音を感じ、深く深く繋がり愛し合ってきた。
内地で再会できた時は、よっぽど心細かったのか、珍しくクレアから素直な気持ちを聞く事ができたが、運悪くハンジにより中断になってしまった。
その後もタイミング悪くすれ違ってばかりで、さすがのリヴァイも少し苛立ちを感じていた。
クレアと深く愛し合いたい。
ただそれだけだと言うのにこのうまくいかない状況。
だが、苛立ってる時間すらも今のリヴァイには無い様だ。オルオの馬が疝痛を起こしてるのだ。
出発までになんとかしなければ。
リヴァイも机の周りを一通り整頓すると、厩舎に向かうため執務室を出た。
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クレアは仕方なく食堂に来ていた。
まだ時間も早いため、ほぼ貸し切り状態だ。
トロスト区の襲撃があってからは兵舎に残っていた調査兵も遺体の処理やら、瓦礫の撤去作業などで忙しく、朝はギリギリまで寝ている者が多くなったと言う。
今日も混み合うのはギリギリになってからだろう。
そんな事を考えながら席に着くと、背後から明るい声で自身の名前を呼ばれた。