第23章 我愛羅
「………テマリだ、それは」
「……え?」
我愛羅がくるりと引き返し、引き出しを開けて取り出した写真。渡された写真を私は受け取った。
「わぁ…キレい…!」
渡された写真には、美しい真っ白なウェディングドレスを着て笑顔で微笑むテマリさんが写っていた。隣にはシカダイがテマリさんを見上げる。
「テマリは式を挙げていない。シカダイが先に出来たからな。最近やっぱり式をやりたいとテマリが言いだしてな」
わたしの隣に我愛羅は
ソファに腰かける。
「オレも見たくてついて行ったのだ。シカダイの子守も兼ねてな。そばにいたはずだが、シカダイは見えなかったか?」
我愛羅に問われても、私は
ぽかんとしていた。
女の人しか見てなかった。
ぜんぜん…わからなかった。いつも任服しか見たことないからだ。
我愛羅が結婚式場にいる。
それだけで衝撃的すぎて逃げた。
よくよく……思い起こせば、黒い頭が窓から小さく写ってた気がする。
そういえば……
カンクロウさんもいたような……
ショックが大きすぎて、すぐに目を逸らして、式場から即座に立ち去った私。
「なんだ……そうだったんだ……」
早とちりだったのか。良かった。ホッと
胸を撫で下ろした。
「シカマルは当日までお楽しみらしい。……女はドレスを着ると格別に美しく見違えるな」
私が写真を返すと、我愛羅は姉の煌びやかな姿に目を細めた。
「テマリさんは普段から美しいよ」
「……まあ、そうしておこう」
我愛羅は優しい表情を浮かべて、写真を戻すと、私にお茶を渡した。冷たい麦茶。コップに水滴がついている。
「ありがとう」
もらったお茶を一口くちに含んだ。
美味しい。私は安堵した表情でお茶を飲んでいた。我愛羅に婚約者がいない事を喜んでいるのだ。
「花奏は、…そうだな。結婚願望はないのか? 誰とも付き合ってないだろ」
「っ!え"っ…!?」
突然ふられた話に動揺した。
ぐさり核心に刺さる。
我愛羅が結婚してしまうと思い、
女子会で失恋会を開いておりました。
とは言えず。