第6章 約束
「チュンランはそんな手伝いをして大丈夫なの?」
「ええ。バックス様って昼間はほとんど寝てるし、何してても割とバレないのよ。だから昼間のうちにあなたをその人の所へ逃がしてあげる。そしたら、あなたはこの屋敷からいなくなる訳だから、そのうち屋敷の外に出て行方不明になった~って話になると思うわ!」
彼女の提案はたしかに上手くいきそうだ。
「私をかくまってくれる人は、その、なんて言ってるの?」
「あぁ。その人はあたしの言うことなら何でも聞いてくれるから、気にしなくていいのよ。」
そう言われると逆に気になってしまうが、とにかく今の私にはとてもいい話に思えた。
「じゃ、じゃぁお願いしてもいい?」
「もちろん!じゃぁ明日ね!明日!」
「明日!?」
「善は急げって言うでしょ!」
「なるほど…。」
そんな話をして、私とチュンランは別れた。
私はもう明日にはこの屋敷にはいないんだと思うと、なんだか現実感がわかなくて、屋敷の廊下で夕暮れの空を眺めていた。
短い間だったけど、長かったような気もする。
「悠子。」
振り返るとそこにいたのはバックスだった。