第3章 子守唄
鶴丸「…あぁ、楽しい。あの子といるのは、楽しい。だが…」
雪華「だが、なに?」
鶴丸「っ…君と重なるんだ…笑顔も、行動も、何もかもっ…」
雪華「……」
鶴丸「そして今日、思ってしまった…なんで…ここにいるのが雪華じゃないんだと…!」
顔を上げた鶴丸の金色の瞳からは、涙が溢れていた。
目尻から、堪えきれなくなった雫が零れ落ちる。
雪華「鶴丸…」
鶴丸「あの子が君であったならと…思ってしまった…俺はあの子を…君の代わりとしか思っていなかったんだっ…あの子は、俺に向き合おうとしてくれているのに…俺は…俺はあの子を見ていなかった」
雪華「……」
鶴丸「俺は…あの子と向き合うのが怖い。向き合うことで…君を忘れるのが怖いんだ」
鶴丸の気持ちを最後まで聞き届けた雪華は、少しの沈黙の後、答えた。
雪華「…忘れなくていいのよ」
鶴丸「え…?」
雪華「忘れなくてもいい。ゆっくり、思い出にすればいいの。そしてあの子と向き合って、あの子自身を見てあげればいい」
鶴丸「…だが俺は今も君を…っ」
雪華「…あなたはもう…気づいてるはずよ。自分が、あの子をどう思っているか」
鶴丸「っ…」