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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第17章 【信玄編・後編】※R18※


「各隊長、ここへ」

竜昌の指示で、騎馬隊、弓隊、歩兵隊の隊長たちが集まる。

「相手は武田・真田・高城の連合軍だ。人頭も騎馬もこちらより少ない、が舐めてかかるととんでもない目にあうこと必定」

ゴクリ…と騎馬隊長の喉が鳴った。武田の騎馬隊と言えば、信長をはじめとする各国の大名を震え上がらせ、無敵の名をほしいままにした軍勢だ。

「安心しろ、武田の馬ではないそうだ」

竜昌は騎馬隊長を見て、頬当の下でニッと笑った。

「ハハッ」

敵を目前にして笑うことのできる豪胆さは、味方の戦意を鼓舞するための必需品だ。
竜昌の笑顔をみて、隊長たちもそれに応えるように笑った。

「策を授ける」

手招きする竜昌に隊長たちは耳を寄せ、囁くように語られる策を聞いた。

「…よいな」

「承知!」

百戦錬磨の隊長たちもその策に異論はないようで、大きく返事をすると、各隊に戻って指令を伝えた。
やがて音もなく、歩兵隊の一部が本隊を離れ、林の中に消えた。
つづいて、騎馬隊を先頭とした本隊がゆっくりと進軍をはじめる。

林の中の暗い街道をしばらくいくと、やがて前方に明るい光が見えてきた。木々がとぎれ、開けた野原になっている。敵はそこに布陣しているらしい。


ピーヒョロロロ…


鳶がまた一段と高く啼く。
そのとき、前方で男たちの雄叫びが上がった。
別動隊として林の中を進んでいた歩兵隊が、敵の裏をかいて襲い掛かったのだ。

「おいこら、待て!陣形を崩すな!」

裏をかかれたのは、高城兵たちが布陣する左舷だった。戦慣れしていない高城兵たちは動揺し、陣形を無視して、林の中の伏兵に斬りかかった。



その混乱に乗じて、竜昌は腰の剣をすらりと抜き、大きく息を吸った。
兵たちも続々と抜刀する。金属の擦れるかすかな音が集まり、林の木々の間に満ちた。


「我に続け!!突破──────ッ!!!」


竜昌は春雷の手綱をぐいと引き、一気に駆けだした。先発隊の三十騎がそれに続く。

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