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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第11章 【秀吉・前編】


「竜昌殿曰く『秋津は小さい国なので何でも自分でやっていたから』だそうで」
「なるほどな。信長様は本当にいい人材を得られたというわけだ」
「まさしく」
三成はにっこりと笑った。
秀吉は、安土城内の人々の動きには目を配っているつもりだったが、竜昌のこうした働きには全く気付いていなかった。
信長から直接命を受けたのだろうが、それにしてもいつの間に…。
「信長様にも報告しておかないとな」
「ええ是非。秀吉様からも何か労いの一言をかけてあげてください」
「うん、そうだな」
「では、私はこれで。もう遅うございます、秀吉様もご無理をなさらないように」
「ありがとな、三成」
三成が去ったあと、秀吉は紫煙をくゆらせながら、もう一度その報告書を見た。
それぞれの村の作物、田畑の面積、人口まで、事細かに記載され、さらにその村が抱える問題や、今年の作付予想なども書き加えられており、石高の報告書としては完璧な出来栄えだった。
竜昌は安土の新参とはいえ、信長直属の武官として、兵の鍛錬や武具の管理など、やることが山積みなはずだ。
その合間を縫って検地に出向き、この報告書を仕上げるのに、どれほどの労力を費やしたのか、想像もつかなかった。
しかしそのおかげで三成や、ひいては秀吉の仕事が軽くなっているのも事実だろう。
『明日、礼に行かなきゃな…』
秀吉は深く煙を吐いて、ぱたりと報告書を閉じた。


─── ◇ ─── ◇ ───


翌日、秀吉が竜昌の部屋のまわりをうろついていると、珍しい人物に出くわした。
「よう秀吉。こんな所で何をしている」
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