第11章 遠征
朱を孕んだ端正な横顔と、チラリと覗く美しい金の髪が桜に映えてとても綺麗だった。
「さて、この桜のパワーも貰ったしな、今なら良い鍛刀が出来そうだ」
ひょいっと木から飛び降りて、軽い足取りで鍛冶場へと向かう。
「全く。女らしくしろと言った途端にそれか」
「はは、残念ながら"女らしさ"は私には難しいようだ」
「…そのようだ。アンタらしくて良いと思うがな」
「褒め言葉として受け取ろう」
「勝手にしろ」
言葉とは裏腹な優しい笑み。
少しずつ、山姥切くんのことも分かって来たような気がした。
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「まさか…これ程に素晴らしい鍛刀が出来るとはな…」
我ながら、震えた。
「その身なり、その立ち振舞い…神道に仕える方とお見受けする…!!」
「あぁ、長いこと神社にいたからね。戦うより癒す方が得意かもしれないね」
「やはり…!!!」
そのお方は、石切丸、という名だそうだ。
色々とお話を伺いたいところだが、
長谷部くんが政府からの書簡を貰ったそうなので
泣く泣く部屋に戻る事にした。
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「ふむ…。遠征? 出陣とは違うのだな?」
「今度は遠征ですか。随分と働かせますね」
「兄様の時は違ったのか?」
「これ程までに過密なスケジュールでは無かったと記憶しております」
「そうか…。皆も疲れが溜まるだろう、すまんな、働かせてばかりで」
「なっ!? 主のせいでは御座いません!! 主こそ働き詰めで…俺は主が心配です…」
「大丈夫だ、私は楽しんで行っているからな。遠征…平安時代の京都へ調査か…♪」
「…まさか主も行くつもりで…?」
「うむ♪ 楽しそうだ♪」
「主!! 少しはお休みになって…」
「さぁ、鈴を鳴らして集合だ♪」
「主!!!」
長谷部くんをスルーして皆を集め
今回の遠征メンバーを発表した。
隊長 歌仙兼定
続いて
石切丸
鶴丸国永
燭台切光忠
薬研藤四郎
今剣
「僕が隊長だね、任せてくれ」
「主…このメンバーは…」
「平安時代の京都だからな、雅な者を中心に集めてみた」
「当然だね。場所が場所だから」
「意義ありー!!」