第1章 はじまり
?「なら、人間になるかい?」
?2「俺たちは、あんたの味方さ」
心の声が聞こえるはずもないのに
どこからか現れた2匹の黒い魚
『お名前は?』
?「ヴァイル」
?2「ガイル」
『でも一体、どこから…』
ヴァイル「そんな事はどうだっていいさ」
ガイル「人間に、なりたいんだろ?」
『だけど…』
ヴァイル「なれないんだろ?」
ガイル「イイ事を教えてやろう」
『良い事?』
「「青の洞窟」」
『それは何?』
ガイル「行きたいか?」
ヴァイル「何でも願いが叶う場所」
『……何でも、』
「「そうさ、何でも。」」
行くか、行か無いか、迷うに
畳み掛けるように誘う
ヴァイル「お父様は意地悪なのさ」
ガイル「人間は素晴らしい」
ヴァイル「青の洞窟に行けば全て叶う」
「「人間になれる」」
『そうよ、ね。連れてって!』
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深い森に入ると、木の声がしてくる
「願いが叶うよ」
「お父様は意地悪だ」
「人間になろう」
「やっと叶うよ」
囁くように喋る木は薄気味悪く笑っていた
ガイル「見えたぜ」
ヴァイル「あれが青の洞窟さ」
『着いた……』
更に奥へと進むと、誰の声かは知らないが
歌声が聞こえてきた
?「願いは、叶う〜。私の魔法で〜...♪」
『魔法?』
?「あぁ、来たのね…待ってたわ。
私の名前はアースラー」
『貴女が願いを叶えてくれるの?』
アースラー「もちろんよ!」
願いを叶えてくれるのは毒々しい紫色の
太った蛸の魔女だった
アースラー「人間になりたいんだって?」
『そうなんです』
アースラー「代償は?」
『代償って?』
アースラー「何も無しで叶えてあげるとでも?」
『いえ、何を差し出せば…』
アースラー「そうねぇ……その声を頂戴。」
『私の声』
アースラー「人間になれるのよ?
安いものでしょう?」
『…分かりました。』
アースラーはニヤリと笑うと
薬品を大鍋に次々と入れ調合していた