第5章 ◆涙と語らい ★★★☆☆
「主、もう少しこのままでもいいですし、この先に進めることもできます。…どうしますか」
長谷部さんの指の先が入り口を突っついた。
快感は途切れ、ほんの少しの恐怖がじわりと背中を冷やしていく。
怖いけど、いつまでも甘えてちゃだめだ。
「……頑張ってみます」
「偉いですね、主…それじゃあ、入れますよ。息をゆっくり吐いて、力を抜いて…」
「…はいっ…」
わ、指が入ってくるのが分かる…。変な感じがするけど、前より痛みはない。
多分、人差し指の第一関節くらいまで入っていると思う。
「大丈夫ですか?」
「はい…大丈夫です。もう少し深くても、平気です」
「…では、もう少し」
んん……。
これ以上進んだら痛いかと思ったのに、そんなに痛くないかも。
何かが奥まで入っていくのは分かるけど、はっきりとした感覚はない。
長谷部さんに迷惑に思われていないと分かって前回のような雑念がなくなったからだろうか、リラックスできている気がする。
長谷部さんに任せていれば大丈夫という気持ちが強くなって、恐怖もなくなっていた。
「………主、指の根元まで入りました。痛くありませんか?」
「そんなに痛くないです」
「よかった…では、少し動かしますよ」
「はい…」
私の中に収まっている長谷部さんの指は、ゆっくりと動き出した。ほんの数ミリ単位で、奥に入ったままさらに奥へと押し付けられるようなかすかな動きをする。
「んっ……」
痛い、かと思った。そうでもない。
押し付けられる刺激が少しあるだけだ。
……あ、違う。小刻みにされると、これって気持ち良いかも……。